近年の法定監査報酬推移

2010年度~2018年度 法定監査報酬推移

前回に引き続き、近年の監査報酬について触れたいと思います。参考資料としましては前回同様、日本公認会計士協会から発表されている監査実施状況調査です。まずは2010年度~2018年度の法定監査報酬推移時間単価推移をグラフにしてみました。


グラフから、法定監査市場は一度2,300億円程度まで引き下がってはいるものの、2015年度からは順調に増加し続けていることがわかります。結果的に2018年度には2,720億円となり、2010年度と比較して240億円増加となっています。一方で時間単価は12,000円近辺を推移しています。つまり、2018年度に向けては監査総時間が増加した結果、監査報酬総額が増加しているということです。

金商法・会社法による増加 – 193億

上記の通り、2010年度から2018年度にかけて監査報酬総額は240億円増加しています。その内訳を確認すると8割にあたる193億円は金商法・会社法の増加のようです。残りの47億円がその他です。ほぼ、金商法・会社法の増加と考えてよさそうです。さらにみると、金商法(連結)で100億円、会社法で100億円近い増加と言う内容です。

全体としては、監査時間が増えている結果、監査報酬が増えていると書きましたが、金商法・会社法区分でも同じ状況のようです。さらに言うと、金商法・会社法区分の法人数はそれ程変わらず、1法人当たりの監査時間数が1割程度は増加していることがわかりました。時間単価に上昇傾向はみえませんので、1法人当たりの監査報酬は監査に要する時間が増加した結果、1割程度増加していることになります。この監査時間増加トレンドがいつ頃まで続くのか、今から今後の実施状況調査が気になります。

その他区分による増加 – 47億

上記の通り、法定監査市場の増加傾向は、おおかた会社法・金商法からもたらされているものですが、そもそも会社法・金商法が9割を占めている市場ですのでそれももっともな話かと思います。その他区分による増加は、増加率が2010年度比較で28%であり、会社法・金商法の増加率8%を大きく超えます。会社法・金商法以外の分野で新たな法定監査導入が進んだ結果と言えます。

補足①2017年度の増加要因
2017年度は2016年度の166億円から22億円増加して188億円になっています。 これは、社会福祉法人監査の法定監査が始まったことによるところが大きく、19億円の影響でした。

補足②2018年度の増加要因
2018年度は2017年度の188億円から25億円増加して213億円になっています。これは、医療法人監査の法定監査が始まったことによるところが大きく、21億円の影響でした。

それではまた別記事にてお会いしましょう!

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